詩や短歌や俳句がよく分からないと感じる生徒は次第に増えているように感じます。
分からなくなる原因の1つ目は、ふつうの文章に比べて、極端に語数が少ないことです。
もちろん文面上は語数が少ないので、読むことは容易にできますが、
ふつうの文章のようにたとえ話などを使って分かりやすく解説してくれないので、
一語一語に含まれる情報量が多くなるために理解するのが難しくなるのだと思います。
分からなくなる原因の2つ目は、言葉の知識(語彙力)が不足していることです。
漢字の勉強はしていても、ことわざや慣用句などの勉強をする生徒は多くないです。
古い言葉の蓄積が少ないために、詩や短歌、俳句にあまり興味をもてないのかもしれません。
また、現代の作家の作品も含めて、古い時代の作家の作品を読み取るときには、
今とは時代背景が異なるので、その時代の風物や生活に関する背景知識が必要になります。
生徒が詩や短歌、俳句を自力で理解するのは難しいようで、最近の入試では、詩や短歌、俳句には鑑賞文を付け加えるようになりました。
言葉をより深く感じるという意味では、ふつうの文章より詩、短歌、俳句のほうが適していると思いますが、なかなかうまく教えられる人も少ないのではないかと思います。
ここからは、詩や短歌、俳句を読むためのポイントをいくつか説明していきます。
●言葉の響きやリズムを感じる
できるだけ声に出してゆっくり読んでみます。一度ではなく何度か読んで言葉の響きやリズムを感じることが大切です。
詩は行や連、短歌は五・七・五の音数、俳句は五・七・五の音数などの区切り、つまり、言葉と言葉の間合いを意識して読んでいくと、作者が表現したい情感をつかむことができます。
●全体のイメージをつかむ
短歌や俳句は形式が決まっていますが、詩もある程度決まった形式で書かれています。
文章と同様に、限られた文字数の中で気持ちの盛り上がりが表現されているはずで、それは言葉のひとつひとつを味わうだけでなく、全体を読むことで捉えることができると思います。
作者がどんな思いや感情を込めて詠んだのか、その雰囲気や情感に共感できれば、詩や短歌、俳句がよりおもしろいと感じられるはずです。
●表現技法を理解する
詩には直接的な表現と比喩や象徴的な表現が使われることがあります。また、短歌や俳句には季節の移り変わりや自然の風景を表現するために季語がよく使われます。
一見すると直接的な意味がないように思える部分も、作者の意図的に込めたメッセージやイメージを読み解くことができます。
そうした表現技法などを知ることで詩や短歌、俳句の奥深さや広がりを楽しむことができると思います。